豪州盤ゴールド・パーロフォン『プリーズ・プリーズ・ミー』が我が家にやってきた!渋く輝く黄金色に感動!

 先月の確定申告の後にB-SELSさんに立ち寄った折に、「なにか面白いのはありますか?」とオーナーさんに伺った際に奥から出されてきたのがオーストラリアのモノラル盤で、しかも1stのゴールド・パーロフォン・レーベルの『プリーズ・プリーズ・ミー』でした。

 購入したことはもちろんありませんが、時折入荷されるときに聴かせていただいたことはあります。いつか買えたら良いなあとは思うものの英国モノラル盤のゴールド・パーロフォンは15万円くらいしますし、ステレオ盤できちんと聴ける状態のものはいくらになるやらという代物です。

 比較的リーズナブルに手に入れられると言われていたオーストラリア盤も、ここ10年くらいのアナログ・レコードのブームもあり、なかなか良い状態のものを目にする機会もございませんでした。そんなときに巡り合ったのが今回、片手を超える福澤さんで購入したオーストラリアのモノラル盤の1stで千枚もプレスされていないだろうと言われているゴールド・パーロフォン・レーベルの一枚でした。

 一般的にビートルズのパーロフォン盤といえば、黒地に黄色文字の阪神タイガースみたいなデザインですが、ごく最初期には黒地に長い時を生き残ってきた、鈍い輝きを持つ黄金色の文字が光るレーベルを貼り付けた盤が存在します。ただし、そのレーベルが使われたのはほんの初期のころで、基本的には一般的な黒地に黄色文字に変更されてしまいましたので、かなり現物は少ない。

 ゴールド・パーロフォンの1stとそれ以降の見分け方は1stではレーベルのビートルズの下の記述が”Made in Australia for the Parlophone”であるか、”Made in Australia by EMI”であるかで判別可能です。

 ちなみに『ラヴ・ミー・ドゥ』『プリーズ・プリーズ・ミー』のシングル初期盤では赤パロと呼ばれる赤いレーベルがあり、それ以降の盤と比べると、明らかに音色の豊かさや艶めかしさが違っています。リンゴの怨念が詰まったこのシングル盤はとても重たいドラムが魅力的に聴こえますし、わざわざセッション・ドラマーが叩いたテイクでリンゴがやけっぱちにタンバリンをかき鳴らすテイクをデビューアルバムに使うのも何だかなあという気持ちではあります。

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 そんなこんなで英国盤だとかなり貴重なゴールド・パーロフォンはさすがに高嶺の花であり、買うのも躊躇うほどの手が出ないレベルでしたが、今回聴かせていただいた豪州盤『プリーズ・プリーズ・ミー』のA面1曲目の『アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア』のハンド・クラップの乾いた響きとコーラスの臨場感を体感してしまったら、もう買うしかありません。

 あっという間にA面最後の『プリーズ・プリーズ・ミー』まで来てしまい、ライヴのような新鮮さと解像度抜群の音色の豊かさに驚かされました。まるで目の前に4人がいるような感覚を味わいました。英国盤だとさらにとんでもない音なのでしょう。

 というか、聴かせてもらったこともありますが、今回は縁があった豪州盤のこの一枚を気に入りました。レコードは一枚ごとに音が違うので毎回試聴時に基準にするのは自分がその音を気に入るかどうかなのです。

 何が凄いと言って、これは1963年にたった半日で10曲をレコーディングした彼らの記念すべきデビュー作の豪州での最初期盤なのです。レコード量産は版画と同じなので、プレスを重ねるごとに音が潰れていきますが、丁寧な作り込みが素晴らしいこのUKマザーの豪州盤ゴールド・パーロフォンはまったく60年経っても、新鮮で色褪せていません。

 これまで大切に扱ってくれて来た歴代のオーナーさんたちに感謝の気持ちでいっぱいです。ぼくらレコード・コレクターの使命として、最終的には次世代にコレクションを繋いで行くという一大仕事がありますので、ボケる前にはどなたにコレクションを託すかを考慮に入れておく必要があります。

 最悪なのは死んだ後に価値が分からない者に捨てられるか、二束三文でbook-offに売られるかなので、誰にも託せない場合はオークションでまとめ売りのみで受け付けて、価値に相応しい最低価格を入れたうえで、各国別で売っていき、繋いでいくしかないのかあと思っています。

 B面はデビュー・シングル曲の『ラヴ・ミー・ドゥ』(別テイク)から始まり、シングルではB面だった『PSアイ・ラヴ・ユー』に続いていきます。つまり、A面6曲目『アスク・ミー・ホワイ』と7曲目『プリーズ・プリーズ・ミー』がセカンド・シングルで、ひっくり返すと、ファースト・シングルの両面に収録されたナンバーを聴いていく流れになります。まあ、前述のとおり、『ラヴ・ミー・ドゥ』のドラマーは違っています。厳密に言うと、『アスク・ミー・ホワイ』もアルバム・テイクと赤パロテイクは音のバランスが違って聞こえます。

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オーストラリア盤のゴールド・パーロフォンにはレーベル表記にも特徴があり、よく見るとタイトルが『PLEASE PLEASE ME』ではなく、『PLEASE, PLEASE ME』になっています。分かりにくいですが、最初の”PLEASE”の次にカンマが入っているのです。セカンドでもこちらは確認出来ましたが、細部までしっかりと見ていくのも楽しみの一つであります。

 趣味的要素の強い『ベイビー・イッツ・ユー』『ア・テイスト・オブ・ハニー』が一枚のアルバムに並びますが、ジョンとポールが各々でリード・ヴォーカルを務めるカバー曲がとてもかっこよく聞こえます。こういった選曲に彼らのセンスの良さが出ますし、食わず嫌いをせずに、好きな曲をピックアップしていくのも才能の一つのようです。

 『ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット』の拍子木の音を彷彿とさせるスティックの打ち合わせが乾いた高い響きを出しており、これは他の盤では味わえません。「戸締り用心!火の用心!一日一度は良いことを!」で高見山らが出ていたCMでの拍子木か、カリっと揚がったモスのポテトフライくらい美味な響きです。

  個人的に大好きな『ゼアズ・ア・プレイス』が盤の出来を引き締め、大トリにジョンが叫ぶ『ツイスト・アンド・シャウト』がライヴのラスト・ナンバーのように鮮烈な印象をさらに高めていきます。ビートルズのアルバムで奥深さを感じるのがB面5~6曲目に配置されるナンバーで、ここがしっかりしているアーチストはほぼ皆無で、われらがビートルズの凄みはこういったところにも表れています。

 B-SELSさんで再度全曲を試聴後に自宅へ持ち帰ってから、すでに三回ほどアルバムを聴きなおしています。ちょうど行ったときはサンダー・ストラック(by AC/DC)の大雨で、店内でオーナーさんとだらだらしながら、「確定申告は面倒くさいですねえ」「政治家だけでなく、ぼくらも納税の自由が欲しいですね!」や「ふるさと納税はやったほうが楽しいですし、取られ損は腹が立つので、取り返しましょうよ!」などと話していました。

 すると、雷雨でしばらくはだれもこないかもと思っていた矢先、愛知から5時間かけてお店に来たという強者の中学生ファンの方が来られ、話を聞かせてもらうと、前回来た時に『ア・ハード・デイズ・ナイト』の英国モノラル盤を購入したと聞き、驚いてしまいました。

 ぼくが中学の時は旗帯盤で喜んでいましたので、彼が握りしめるUKやUS産のジョージのソロ・シングル盤たちを眺めながら、最近の若いマニアの人たちはレベルが違うなあと感慨にふけりながら、お店を後にしてきました。今後もファンは増え続けていくのでしょう。良きことです!

 次の日は所用で橿原神宮前駅に立ち寄ったところ、ちょうど愛子内親王が橿原神宮へお参りされたお帰りに特急列車にご乗車になるタイミングでしたので、駅はごったがえしていて、御姿を御見せになると「ワ~!」「キャ~!」で大人気でした。白い帽子が可愛らしかったです。「バンザイ!」があちこちで三唱されていましたが、それに混じるようになぜか「ニッポン!」の掛け声もしていて、サッカー代表ちゃうで!と思いながら、微笑ましく見ていました。

 数年前に安倍首相の事件がありましたので、警察の警備は厳戒態勢で、二度とへまは出来ない緊張感を感じました。無事に特急にご乗車になり、県警の人たちもホッとしていることでしょう。

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ビートルズUK盤コンプリート・ガイド[増補改訂版] (CDジャーナルムック) - 井上ジェイ, 藤本国彦, 保科好宏


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この記事へのコメント

蟷螂の斧
2024年04月13日 09:24
おはようございます。
一番最後の写真。そう言えばジョージの名前が一番最初に載っていた。それを久々に思い出しました。演奏はリード・ギターが主役って事かな?

>趣味的要素の強い『ベイビー・イッツ・ユー』『ア・テイスト・オブ・ハニー』

渋い2曲。それがまたいいですね。

>こういった選曲に彼らのセンスの良さが出ますし、食わず嫌いをせずに、好きな曲をピックアップしていくのも才能の一つのようです。

その通りです(拍手!)
用心棒
2024年04月15日 12:09
こんにちは!

>ジョージ
なぞですね。そういえば、日本盤『ビートルズがやってくる ヤアヤアヤア!』のオリジナルジャケはジョージがド真ん中!

>渋い
カバー曲のセンスがいいですよね。ビートルズが取り上げたことによって、50年以上の歳月を生き残っているアーティストもたくさんいそうです。

次回は印度盤の魅力を取り上げます!

ではまた!