『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インディア』(2022)曲を使えない時点でこれがオフィシャルでないと分かります。

 じつはこの映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インディア』が現在わが国で公開中であるとはまったく知りませんでした。それは春先にBSで放送された、BBCのドキュメンタリー『ビートルズとインド』という2時間弱の作品の影響があります。

 その作品を見ていたので、てっきりそれだと勘違いしていました。何故よりによって、このような似たタイトルにしたのだろう。どっちか折れなよと思いますが、今後も間違えて購入する人がいるかもしれません。

 そんなこんなで、この作品を認識したのがつい四日前で場所はいつも行くB‐SELSさん。「そうだ!近くの劇場でも上映してるかな?」と奈良県内の上映スケジュールを探しましたが、どこもやってません。

 この作品のパンフを飾っていた、いつも通っているビートルズのレコード専門店B‐SELSさんでパンフの内容を見ていたときに、監修がデヴィッド・リンチだったことを思い出し、『ブルー・ヴェルヴェット』『エレファント・マン』『イレイザー・ヘッド』などはもともと単館系作品だったので、もしやと思い出したのが大阪九条のシネ・ヌーヴォでした。

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 コロナウイルスが世界的に流行して以来、なかなか他府県をまたがる移動などは控えていたので、九条には3年ぶりのお出かけになりました。上映スケジュールだと本日が最終日のようでしたので、無理やりお休みを取り、午後3時過ぎの上映までの間に、劇場近所にあり、知り合いのインド料理屋さんやカレー屋さんのオーナーさんたちに絶対に行けと言われていたものの、なかなか縁がなかったお店ナンバーワンだったスリランカ料理店に到着しました。

 大阪では結構有名なロッダ・グループというお店です。スリランカ料理なので、どうせならとねっとりとモチモチした日本米と比べ、ドライな食感のバスマティ・ライスで食べるフィッシュ・カレーと野菜カレーのセットを頼みました。タイ米など細長いこの種のお米はあまり日本では好まれていないようで、普段通っている印度料理屋さんでも注文少なめなので残念だとオーナーがボヤいていました。

 お店の人の話ではフィッシュはあまり辛くないとのことでしたが、それでも十分過ぎるほどに辛口でした。スリランカ・スタイルでは数種のカレーを混ぜながら、食感や味を変えながら楽しみます。基本的には島国で魚介系カレーが主流だったはずなので、エビかフィッシュのうち、フィッシュを選びました。

 豆を探したのですが見当たらず残念でしたが、後でよくメニューを調べると、単品で豆も見つけました。次回は豆も頼みたい。プレートは十分くらいで出てきました。今日は雨上がりということもあり、比較的空いていました。ぼくは混ぜる割合や具の種類を変えながら、食べていきましたが、バスマティライスが足りなくなったので、ライスを追加しました。

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ちょうど食べきった時にスリランカ人のシェフさんと目が合ったので、右手でオッケーサインをして、「めちゃくちゃ旨かったですよ!」と声掛けしたところ、微笑んでくれました。印度料理とスリランカ料理は微妙に違いますが、近所だし、印度でのドキュメンタリーを見るにはピッタリで、腹の中もスパイシーな状態で上映に臨みました。

 内容はエプスタインを失う前後の頃、世界中をずっと飛び回っていたライヴ活動も止めて、レコーディングに割ける時間が増えていて、自分たちのこれまでとこれからを見直すターニングポイントになる時期を捉えた貴重な作品ではあります。

 この時期の彼らと接触できる人が少なく、静かな環境で楽曲制作に励んでいた彼らがやっと取り戻した自由時間をエンジョイしていた状況でしょう。そんな彼らを写真や映像で撮ることを許可されたこの作品の監督は幸運なのはもちろん、50年以上が経過した今になってしまったものの、こうやって新しい知識が増えるのはアルバム『ザ・ビートルズ』を深く理解していく上でも興味深くなるはずだと思っていました。

 しかし幕が開けるとメンバー登場場面のほとんどは紙芝居のような再現アニメであとは貴重ではあるものの、若い頃に撮った数枚の写真にまつわるエピソード、デヴィッド・リンチのインタビューで大半の時間を押し切って行きます。残念過ぎます。

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 良かったのはパティ・ボイドとデヴィッド・リンチのインタビューくらいでしょうか。デヴィッド・リンチがこんなにインド思想に心酔しているのが意外でした。インド側も商魂たくましく、かつてマハリシがベースにしていたガンジス川沿いのリシケシュの廃墟を観光地化させて稼いでいますし、監督は娘の助言でビートルズを出汁にして、一山当てようという感じです。

 そもそもビートルズ映画のように見えますが、アップルの許可が取れなかったのか、一曲もオリジナルが流れません。制作途中の曲も流れません。ただこの場所で作られた曲のタイトルを羅列し、48曲だったとか、いや30曲だったとか言っているのみです。作中に『ジ・インナー・ライト』『ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』の話もちょこっと出てきて、パティの影響が仄めかされる程度でした。

 映像でいうと、ジョンがギターを奏でるシーンが数秒あるのみで、肝心なホワイト・アルバム収録に関するエピソードがあまりにも弱い。これは当たり前の話で、そもそも監督はインサイダーのビートルズ関係者ではなく、たまたま彼らと修行場で8日間だけ居合わせる幸運を得たのみですから、当然といえば当然と言える。


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 監修を務めたデヴィッド・リンチがやたらと顔を出すが、彼はビートルズよりも、自分が関連している印度思想の瞑想団体のPRに明け暮れていて、どうしちゃったのだろうという印象でした。インド思想を啓蒙したいのは理解できますので、今後は自作を使って、インド思想を消化した作品が出来上がることでしょう。デヴィッドがジョージ化するのだろうか。

 モンティ・パイソンのパロディ『ラトルズ 4人もアイドル』ではジョージ役の俳優さんはインド系の人が演じていたので、本国でも茶化されていたのでしょう。茶化されていても、ジョージはモンティ・パイソンがお気に入りでしたので、あちらの国はお国柄として、ブラックジョークもオッケーという度量の広さを持ち合わせています。

 さすがにビートルズと言えど、いつまでもネタが続くわけではないので、あるとしたら、今度は『ビートルズと13人の女たち』などのタイトルで現妻、元妻、元カノなどが出てきて語るのかもしれない。神格化イメージを作ろうとするインサイダー側が出るとは考えにくいので、出てくるのは虐げられているであろう元妻や元カノ、および追放されたメンバーの家族でしょうか。

 ちなみに今回はシネ・ヌーヴォに一人で行きましたが、同じ回を観に来ていた女性と楽しくおしゃべりをしながら、シネヌーヴォ2階のあまりの狭さに二人で驚いていました。一階はロシア映画祭など、ここ15年くらいの期間にちょこちょこ出入りしていましたが、二階は初めてだったので、衝撃的でした。

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 入り口に「狭いから飲食は禁止します」と注意書きがありましたので、「そうなんや〜」と思う程度でしたが、軽く想像を超えていて、ミンティア噛んでも臭うくらい空間が狭く(小学校の教室の半分くらいの大きさ)、密度が高い観客同士が仲良くなる楽しい環境でした。見終えてから、こんなはずではなかったという軽い失望感とまんまとやられたという自虐的な笑いもあり、彼女とは帰り道も一緒だったので、今回の作品の出来のヒドさについて楽しく語りました。

 偶然、電車の方向も同じでしたので、駅に着いてから、ちょっと寒くなってきたので、彼女の分のホットの紅茶を買うために自動販売機へ千円札を入れたところ、お釣りがないから使えないよと表示され、「今日はアカン日やねwww映画はダメ。ジュースもお預けwww」と二人で大笑いし、映画鑑賞人生ではこういう日もあるよと慰め合いながら、途中の駅でサヨナラしました。また、どこかの劇場でお話できれば楽しいですね。

 何気に館内に掲示されていたのは先日亡くなったゴダール監督の『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』の上映予告、松井玲奈主演の『よだかの片思い』『理大囲城』『アメリカン・エピック』の告知で、興味をそそられていて、今から気になっています。

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 総合評価 50点
「ビートルズとインド 前編 出会い」
「ビートルズとインド 前編 出会い」

ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)(3CDデラックス・エディション)(限定盤)(3SHM-CD) - ザ・ビートルズ
ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)(3CDデラックス・エディション)(限定盤)(3SHM-CD) - ザ・ビートルズ

よだかの片想い (集英社文庫) - 島本 理生
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この記事へのコメント

蟷螂の斧
2022年12月17日 10:49
こんにちは。この作品はまだ見ていません。機会があったら見たいです。

被害者救済法案が可決となりましたが、あまり効力がないそうですね。

>プーチンランド、キンペー帝国、豚まん国など嫌な地域ばかりがなぜかすぐそばという最悪の立地です。

防衛費が1.5倍。戦後日本の安保転換。いよいよそうなりましたか。

>非課税処置の廃止を含め、やるべきことは多くあります。

首相交代もそのうちの一つでしょう。

>『ビートルズ・イン・イタリー』

僕もCDを持ってます。いいですよね~!
用心棒
2022年12月17日 19:24
こんばんは!

>機会
レンタルでもしあったら程度でオッケーだと思いますwww

>効力
学会や他の既存宗教団体が損するようなのは作れないほど、政治に癒着しているでしょう。
>首相
彼が何をしたいのかよく分かりません。

>転換
核も持つべきですし、各県が嫌がるなら、原潜配備に落ち着きそうです。

>いい
実はモノとステレオのテイクがごちゃごちゃに入っていて、囁きヴァージョンの『アイ・フィール・ファイン』も何気に鎮座していますwww

今日はジョンの”ジョン魂”、YMO『増殖』を聴いていました。

ではまた!
蟷螂の斧
2022年12月27日 02:59
夜中に目が覚めてしまいました。

>政治に癒着しているでしょう。

日本も政教分離が必要です。

>彼が何をしたいのかよく分かりません。

血税は相変わらずです。もっと増やされるでしょう。

>原潜配備に落ち着きそうです。

なぜか思い出したのが「007サンダーボール作戦」。

>ジョンの”ジョン魂”

高3の秋や冬、人間不信になった頃。あのアルバムをよく聞きました。
「Remember」や「God」がすごく好きです。

>秋葉復興相更迭

被災地の皆さん。ガッカリです。
用心棒
2022年12月27日 09:11
おはようございます!

>政教分離
アメリカはクリスチャンが主体でじつは宗教国家かもしれません。
イスラムとの違いは民主主義というオブラートで包むかどうか。

>血税
まずは爆発感染している中国人を入国させないことからすぐに始めるべきですし、失敗したら、自民には選挙で鉄槌を下す。

>007
すでに第三次大戦は静かに始まっているかも。
原潜は必需品です。

>すごく好き
イギリス盤は重々しくなく、繊細な感じがとてもいいですよ。日本盤は暗かったり、重いのが多く、気が滅入りますが、海外盤ではそんなことを感じない。たぶんイコライザーとかをかけすぎて、こうあるべきというエンジニアの感性が悪い方向に出ているのかなあという感じです。

>ガッカリ
岸田は総退陣でいいでしょうが、基本的には最低でも政権というのは3年以上はやらないと安定しませんね。

ではまた!
さすらいの映画人
2022年12月29日 06:15
用心棒さんお久しぶりです。この映画オフィシャルじゃないという時点で見なくても損ではないということですよね。音楽関連の映画、ビージーズやランディ・ローズのドキュメンタリーも見てみたいですね!ではまた!
用心棒
2022年12月29日 21:20
おひさしぶりです!

お元気でしたか?
なかなか気軽に映画に出かけるという状況にはなりませんね。
とりあえずは春までは外国人受け入れをやめてくれれば、日本人はもう少し自由に動けるようになりますね。

>損ではない
あればレンタルで見る程度で十分ですwww
この作品の日の思い出は館内でのおねえさんとの会話と昼に食べたスリランカ料理ですwww

>ランディ
クワイエット・ライオットの『メタル・ヘルス』にはランディ・ローズに捧ぐとありますね。彼が抜けた後のアルバムが一番売れたのも皮肉です。

また来年もよろしくお願いいたします。
良いお年を!
さすらいの映画人
2022年12月30日 10:17
用心棒さんこんにちは。「ロッキーvsドラゴ」を見に行った時(名画座)にこの映画の予告を見たのです。予告でも人物ばかり写してましたからね。劇場には制限しなくなってからは月に二、三回は行くようにしていますよ。昨年遂にBS兼ケーブルテレビを繋いでからそちらも結構見ています。各局BSやムービープラスや日本映画&時代劇専門チャンネルなど。では、良いお年を!
用心棒
2022年12月30日 20:10
こんばんは!

>ロッキー
一作目と二作目は名作の誉れ高いですね。個人的には3と4は公開当時に劇場まで見に行きました。

>制限
ここ数年、仕事が忙しく、なかなか見に行けない状況です。定年までまだ先ですし、再雇用になってヒマになったら観に行けたら良いなあという感じですwww

>ケーブル
wowowとスカパーで20年以上、映画を録画で取り続けた結果、最終的には見たい時代のほとんどをカバーしてしまい、見るものが無くなってしまい、月に数本あればいいほどになったので、解約しましたwww

ではまた!